爪を立てて丸めて完了 彫り留めの方法 毛彫り4点留め
2022
10
こんにちは。
こちらは手彫り工房の彫金教室です。
バックナンバーはコチラから
前回までで宝石のセッティングが終わりました。
今回はいよいよ彫って留めていきます。
まずは遠くから浅く彫って皿のフチ近くまで寄せていきます。
意味合いとしては、単なる飾りと爪の材料の調達です。
今回は飾りなので、1㎜でも5㎜でも1㎝でも構いません。
今回は1㎜と小さい石ですので、
爪の材料が足りなくなることはほぼ無いでしょう。

皿もみの際(きわ)近くまで寄せたら、
短い距離を線彫りタガネを立てながらグッと深く彫ることで
爪を立てます。
タガネの刃の角度によって立てる角度も変わりますので、
あくまで一例としてご紹介。
↓浅く彫る

↓深く彫る

最後に深く彫ることで
地金と爪のつながりが太くなるので、
爪が取れにくくなります。
浅すぎると爪がとれやすく、強度面で不安です。
しかしあまりに深く彫りすぎると、
宝石が乗っている皿の形が変わってしまい
宝石が浮いて留めづらくなります。
ここで宝石が大きく動いて外れるようなら、
ワセリンが少ない、強く叩きすぎ、爪立ての位置が皿の近くすぎ、
のいずれか可能性が高いです。
↓深く彫り&爪立て完了。
今回は爪の材料が少ないのでこんな感じですが、
多いときはちゃんとそそり立つ感じになったりします。

次に爪を丸めていくのですが、
問題となってくるのがナナコの大きさです。
いやまぁ実際は深彫りして爪立てしている時点で
どれくらいの大きさの爪にするのか決めているべきなんですが、
最初からそんなことできるわけないですよね。
1㎜のキュービックジルコニアで留めやすいのは6~8番
頑張れば2番でもいけるんじゃないか、という感じです。
今回私と同じく1㎜くらいで留めていく方は
6~8番でやってみましょう。
もし爪立てした材料が6~8番より多いか少ないなら、
収まるように練習してみましょう。
ナナコで爪を丸める方法は・・・
1 軽く丸める
2 対角線上(向かい側)の爪立てし、軽く丸める
3 他2爪も軽く丸める
4 爪を被せてしっかり留める(これも対角線上の順番で)
5 留まっているかチェックし、緩い所は再度被せる。
とやってもらえれば良いです。
良いのですが、自分で改めてやってみたところ軽く丸めてなかったですね。ハイ。
つまり、慣れると最初から「爪を被せてしっかり留める」ようになるみたいです。
自分でも完全に無意識でしたね。コワイ。
前段階として軽く丸める方が宝石を傷つけるなどの失敗は少ないかと思いますが、
筆者がこんな感じですので、
できそうだったら最初からしっかり倒して留めてもらっても大丈夫なはずです。
いや、いくつも留めるとなるとスピードも大切になってくるんですよ。本当に。
↓いつのまにか最初からしっかり留めていた映像
私は宝石が傾いた時にすぐわかるよう、
爪の先で宝石を押さえながら留めています。
さて、爪立てがちゃんとできていれば、爪を丸めること自体は容易です。
問題は、それで留まるかどうか、です。
覆輪留めのほうでも紹介しましたが、
留めの順番は対角線上が次になるのが基本です。
最初に上の爪を丸めたなら、次は下。
最初に右の爪を丸めたなら、次は左
といった具合です。

対角線上に留めていくと
宝石が傾くのを防ぐ効果があります。
一度傾くと修正が難しい場合も多いので、
丸めて爪を倒すときは力加減に気を付けましょう。
丸めるのは簡単だが、それで本当に留まるかどうか・・・
と先述しました。
基本的な考え方は覆輪留めと同じで、
金属を宝石に倒して被せて固定する、です。
↓まず、爪立ていい感じ図

爪の根本近くが、宝石の上に半ば乗っかっている感じですね。
↓そのまま丸めれば爪が宝石をしっかり固定してくれます。

↓爪立てが遠い場合

爪立てが遠すぎると爪の根本あたりの地金が宝石に被さりません。
ナナコで強く押せば留まる場合もありますが、
見た目的にあまり良くないことも多い手段です。
上図のようにタガネで
さらに深彫りしたり押したり彫り進めたりすると
リカバーが利く場合もあります。
リカバーの図は線彫りタガネを使っていますが、
場合によっては片切タガネを使う場合もあるでしょう。
↓爪立てが近すぎたり、深彫りしすぎた場合

なお、さらに近いと爪が取れますが、
その場合原因は明々白々なので置いておきます。
爪立てが近すぎたり深彫りしすぎると、
上部に被さる以上に下の方まで変形してしまい、
宝石を圧迫してしまいます。
その結果、宝石が傾いて浮いたり、
場合によっては跳んでいきます。
リカバーの方法としては
宝石を取り除いて再度皿もみをするしかないですね。
すると爪の一部が削れるので、材料の調達が大変だったりします。
もう一度軽く深彫りしたり、
片切タガネを使って周囲から集めたり、
難易度が高くなるので一度は経験してみるのも手かもしれませんね。
さて、失敗例も確認したところで、
後はしっかり留まっているかのチェックだけです。
緩い部分があれば再度丸めたりして、とどめを刺します。
この彫り留めで難しいのは皿もみと爪立てですが、
もっとも悩ましいのがチェックです。
手で触って大丈夫そうでも実は・・・ということもあるので気が抜けません。
私は確認用に撮影などで被写体を固定するのに使う粘着剤を使っています。
「粘着剤 撮影」などで検索すると出てきます。
大きめの百円ショップなら売っているでしょう。
粘着剤を留めた宝石に押し付けて動いたり取れたりしないか確認します。
確認して大丈夫・・・という確信を得ながらも、
本当に大丈夫だろうかという不安感はどうやっても残ります。
いうなれば、出先で家の鍵をかけたかどうか気になる感じです。
確実にかけたはずでも、むずむずと気になり続けるアノ感じ。
非常に悩ましいですね。
今回で毛彫り4点留めは完了です。
お疲れさまでした。
次回は皿もみとドリルに関する補足を入れていきます。
それでは。
こちらは手彫り工房の彫金教室です。
バックナンバーはコチラから
前回までで宝石のセッティングが終わりました。
今回はいよいよ彫って留めていきます。
浅く寄せる毛彫り
まずは遠くから浅く彫って皿のフチ近くまで寄せていきます。
意味合いとしては、単なる飾りと爪の材料の調達です。
今回は飾りなので、1㎜でも5㎜でも1㎝でも構いません。
今回は1㎜と小さい石ですので、
爪の材料が足りなくなることはほぼ無いでしょう。

深く根付く爪立て
皿もみの際(きわ)近くまで寄せたら、
短い距離を線彫りタガネを立てながらグッと深く彫ることで
爪を立てます。
タガネの刃の角度によって立てる角度も変わりますので、
あくまで一例としてご紹介。
↓浅く彫る

↓深く彫る

最後に深く彫ることで
地金と爪のつながりが太くなるので、
爪が取れにくくなります。
浅すぎると爪がとれやすく、強度面で不安です。
しかしあまりに深く彫りすぎると、
宝石が乗っている皿の形が変わってしまい
宝石が浮いて留めづらくなります。
ここで宝石が大きく動いて外れるようなら、
ワセリンが少ない、強く叩きすぎ、爪立ての位置が皿の近くすぎ、
のいずれか可能性が高いです。
↓深く彫り&爪立て完了。
今回は爪の材料が少ないのでこんな感じですが、
多いときはちゃんとそそり立つ感じになったりします。

爪を丸める
次に爪を丸めていくのですが、
問題となってくるのがナナコの大きさです。
いやまぁ実際は深彫りして爪立てしている時点で
どれくらいの大きさの爪にするのか決めているべきなんですが、
最初からそんなことできるわけないですよね。
1㎜のキュービックジルコニアで留めやすいのは6~8番
頑張れば2番でもいけるんじゃないか、という感じです。
今回私と同じく1㎜くらいで留めていく方は
6~8番でやってみましょう。
もし爪立てした材料が6~8番より多いか少ないなら、
収まるように練習してみましょう。
ナナコで爪を丸める方法は・・・
1 軽く丸める
2 対角線上(向かい側)の爪立てし、軽く丸める
3 他2爪も軽く丸める
4 爪を被せてしっかり留める(これも対角線上の順番で)
5 留まっているかチェックし、緩い所は再度被せる。
とやってもらえれば良いです。
良いのですが、自分で改めてやってみたところ軽く丸めてなかったですね。ハイ。
つまり、慣れると最初から「爪を被せてしっかり留める」ようになるみたいです。
自分でも完全に無意識でしたね。コワイ。
前段階として軽く丸める方が宝石を傷つけるなどの失敗は少ないかと思いますが、
筆者がこんな感じですので、
できそうだったら最初からしっかり倒して留めてもらっても大丈夫なはずです。
いや、いくつも留めるとなるとスピードも大切になってくるんですよ。本当に。
↓いつのまにか最初からしっかり留めていた映像
私は宝石が傾いた時にすぐわかるよう、
爪の先で宝石を押さえながら留めています。
さて、爪立てがちゃんとできていれば、爪を丸めること自体は容易です。
問題は、それで留まるかどうか、です。
対角線上に次への意味
覆輪留めのほうでも紹介しましたが、
留めの順番は対角線上が次になるのが基本です。
最初に上の爪を丸めたなら、次は下。
最初に右の爪を丸めたなら、次は左
といった具合です。

対角線上に留めていくと
宝石が傾くのを防ぐ効果があります。
一度傾くと修正が難しい場合も多いので、
丸めて爪を倒すときは力加減に気を付けましょう。
爪を被せてチェックする
丸めるのは簡単だが、それで本当に留まるかどうか・・・
と先述しました。
基本的な考え方は覆輪留めと同じで、
金属を宝石に倒して被せて固定する、です。
↓まず、爪立ていい感じ図

爪の根本近くが、宝石の上に半ば乗っかっている感じですね。
↓そのまま丸めれば爪が宝石をしっかり固定してくれます。

↓爪立てが遠い場合

爪立てが遠すぎると爪の根本あたりの地金が宝石に被さりません。
ナナコで強く押せば留まる場合もありますが、
見た目的にあまり良くないことも多い手段です。
上図のようにタガネで
さらに深彫りしたり押したり彫り進めたりすると
リカバーが利く場合もあります。
リカバーの図は線彫りタガネを使っていますが、
場合によっては片切タガネを使う場合もあるでしょう。
↓爪立てが近すぎたり、深彫りしすぎた場合

なお、さらに近いと爪が取れますが、
その場合原因は明々白々なので置いておきます。
爪立てが近すぎたり深彫りしすぎると、
上部に被さる以上に下の方まで変形してしまい、
宝石を圧迫してしまいます。
その結果、宝石が傾いて浮いたり、
場合によっては跳んでいきます。
リカバーの方法としては
宝石を取り除いて再度皿もみをするしかないですね。
すると爪の一部が削れるので、材料の調達が大変だったりします。
もう一度軽く深彫りしたり、
片切タガネを使って周囲から集めたり、
難易度が高くなるので一度は経験してみるのも手かもしれませんね。
さて、失敗例も確認したところで、
後はしっかり留まっているかのチェックだけです。
緩い部分があれば再度丸めたりして、とどめを刺します。
この彫り留めで難しいのは皿もみと爪立てですが、
もっとも悩ましいのがチェックです。
手で触って大丈夫そうでも実は・・・ということもあるので気が抜けません。
私は確認用に撮影などで被写体を固定するのに使う粘着剤を使っています。
「粘着剤 撮影」などで検索すると出てきます。
大きめの百円ショップなら売っているでしょう。
粘着剤を留めた宝石に押し付けて動いたり取れたりしないか確認します。
確認して大丈夫・・・という確信を得ながらも、
本当に大丈夫だろうかという不安感はどうやっても残ります。
いうなれば、出先で家の鍵をかけたかどうか気になる感じです。
確実にかけたはずでも、むずむずと気になり続けるアノ感じ。
非常に悩ましいですね。
今回で毛彫り4点留めは完了です。
お疲れさまでした。
次回は皿もみとドリルに関する補足を入れていきます。
それでは。