彫り留め 板の固定、穴あけ、皿もみ、石のセッティングまで
2022
12
こんにちは。
こちらは手彫り工房の彫金教室です。
バックナンバーはコチラから
長い前置きお疲れ様でした。
今回から実際にやっていきましょう。
概要の記事の内容を覚えているでしょうか?(記事はコチラ
1金属固定→2計測→3穴あけ→4皿もみ→5宝石の設置→6爪立て→7爪を丸め
です。
1固定は、松脂をバーナーで炙ってから金属板を固定するだけ。
金属板は3~4㎝角くらいなら用は足りるでしょう。
練習なので、切れ端でも構いません。

固定したら宝石の計測です。
今回は練習で1.0㎜キュービックジルコニアを使っていくので計測は必要ありません。
ですが他の宝石を使う時のため、
何より本番に向けて軽く触れておきます。
ブリリアントカットの各所にはテーブルやガードルなど名前がついておりますが、
基本的には一番太い部分の直径と高さの2か所の長さを見ておきましょう。
直径(ガードル)は宝石を逆さにして机に置いたままノギスで測ることが多いです。
落とすと床に這いつくばって舐めるように探す羽目になります。気を付けましょう。

前述しましたが直径は使用するドリルの太さに関わってきます。
高さは尖っている部分があるため、慎重に測りましょう。
ジルコニアなら大丈夫ですが、天然石だと欠ける可能性があります。
小さい宝石ならノギスに乗っけて測ることができます。
大きくても指で支えれば問題ないです。落とさないように気を付けましょう。

↑落としたときに遠くへ行かないよう、机からあまり離さず測ろう。
この高さは板厚に関わってきます。
基本的には高さより板厚が大きくないと
板の裏側に宝石のとんがった先端(キューレット)が出てきてしまいます。
チョコ留めなど埋め込む系の彫り留めはさらに余分に厚さが必要です。
まずは十字にケガキして、
交点を狙ってポンチを打ってください。
ここをミスると全部狂ってくるので、しっかり狙いましょう。
↓先ほどと同じ写真ですが、この十字線がケガキです。



もし何回かやっても上手くポンチを打てないようなら、
ポンチの先を尖らせるとやりやすくなります。
・・・実はこのポンチは微妙にズレています。さて、どのように影響してくるでしょうか。
ポンチでくぼみを作ったら、細い方のドリル刃(宝石の直径の半分くらいドリル)
で下穴を開けていきます。
金属板とドリルが直角になっているかどうか
2方向以上から見て確認しましょう。
とても細いドリルなので切削油を付けることもお忘れなく。


穴あきました
下穴はわずかに左上にズレています。

下穴が開いたら、次は皿もみです。
宝石が乗っかるすり鉢状のお皿を作っていくわけですね。
太い方のドリル(宝石と直径ピッタリドリル)で切削します。
貫通させずに途中で留め、宝石をセットします。
始めからピッタリを目指してもよいのですが、
深くし過ぎたら取り返しがつきません。
そのため、まず最初は浅めに皿もみします。

ここから微調整していきます。
少し削っては宝石をセットし、まだ浅かったら少し削り・・・
をちょうど良い深さになるまで皿もみします。
浅い深いは、私は指先で触って確認しております。
皿もみが浅いうちは宝石がその分金属より出っ張っており、
また宝石を押さえた指を軽くズラすようにすると不安定にグラつきます。
と、言われても最初の内は中々分かりづらいと思いますので、
以下で図解して参ります。
深い

金属よりも宝石のてっぺん(テーブル)が低い。
手で触ると安定感はあるものの、出っ張りが感じられない。
なお、チョコ留めなど嵌(は)め込む系の留めではこの図くらい深くする。
浅い

宝石の一番太い所(ガードル)が金属より上のため、不安定。
ただし、ちょうど良いの一歩手前くらいだとそこそこ安定するのでややこしい。
出っ張りが指に引っかかるので、
引っかかり感のようなものにも注意を払い、感覚を覚えよう。
ちょうどGOOD
金属がてっぺん(テーブル)と直径の太い所(ガードル)の間くらいになるとGOOD

安定感はあるが、わずかに宝石の出っ張りが引っかかる。
上手に留められたなと思ったら、何度も触って引っかかり感を覚えると良いです。
なお1mmだと目視では難しいですが、
3㎜くらいになると目視でも分かるようになってきます。
皿もみできたらワセリンを塗ります。
ワセリンの白さがわからないほど全体的に薄く塗ればOKです。
竹串や爪楊枝などを使うと塗りやすいですね。

ワセリンを塗らないと留める時の振動で宝石が跳びます。
ワセリンを塗らないとどれくらい跳ぶか一回試してみると
ワセリンのありがたさが分かるのでオススメです。
ワセリン。あぁ、ワセリン。
あとは宝石を乗っけてセッティング完了です。

さてさて
ポンチや下穴でズレがあると書いたのを覚えていますでしょうか?
セッティング完了時点で、もうズレが分からなくなっていますよね。
これは練習の罠で、広い所に留めているのでズレが分かりにくくなっているのです。
最初の内はとにかく留めることを覚えるの優先で大丈夫です。
慣れてきたら2本線を引いてその中間に留めるようにしたり、
銅管を切ったリングに留める練習をするなど
ズレが分かるように工夫していきましょう。
宝石の留めはわずかなズレが惨事につながることもありますからね。
次回はいよいよ爪を立てて留めていきます。
それでは。
こちらは手彫り工房の彫金教室です。
バックナンバーはコチラから
長い前置きお疲れ様でした。
今回から実際にやっていきましょう。
板の固定と計測について
概要の記事の内容を覚えているでしょうか?(記事はコチラ
1金属固定→2計測→3穴あけ→4皿もみ→5宝石の設置→6爪立て→7爪を丸め
です。
1固定は、松脂をバーナーで炙ってから金属板を固定するだけ。
金属板は3~4㎝角くらいなら用は足りるでしょう。
練習なので、切れ端でも構いません。

固定したら宝石の計測です。
今回は練習で1.0㎜キュービックジルコニアを使っていくので計測は必要ありません。
ですが他の宝石を使う時のため、
何より本番に向けて軽く触れておきます。
ブリリアントカットの各所にはテーブルやガードルなど名前がついておりますが、
基本的には一番太い部分の直径と高さの2か所の長さを見ておきましょう。
直径(ガードル)は宝石を逆さにして机に置いたままノギスで測ることが多いです。
落とすと床に這いつくばって舐めるように探す羽目になります。気を付けましょう。

前述しましたが直径は使用するドリルの太さに関わってきます。
高さは尖っている部分があるため、慎重に測りましょう。
ジルコニアなら大丈夫ですが、天然石だと欠ける可能性があります。
小さい宝石ならノギスに乗っけて測ることができます。
大きくても指で支えれば問題ないです。落とさないように気を付けましょう。

↑落としたときに遠くへ行かないよう、机からあまり離さず測ろう。
この高さは板厚に関わってきます。
基本的には高さより板厚が大きくないと
板の裏側に宝石のとんがった先端(キューレット)が出てきてしまいます。
チョコ留めなど埋め込む系の彫り留めはさらに余分に厚さが必要です。
穴あけ
まずは十字にケガキして、
交点を狙ってポンチを打ってください。
ここをミスると全部狂ってくるので、しっかり狙いましょう。
↓先ほどと同じ写真ですが、この十字線がケガキです。



もし何回かやっても上手くポンチを打てないようなら、
ポンチの先を尖らせるとやりやすくなります。
・・・実はこのポンチは微妙にズレています。さて、どのように影響してくるでしょうか。
ポンチでくぼみを作ったら、細い方のドリル刃(宝石の直径の半分くらいドリル)
で下穴を開けていきます。
金属板とドリルが直角になっているかどうか
2方向以上から見て確認しましょう。
とても細いドリルなので切削油を付けることもお忘れなく。


穴あきました
下穴はわずかに左上にズレています。

皿もみ
下穴が開いたら、次は皿もみです。
宝石が乗っかるすり鉢状のお皿を作っていくわけですね。
太い方のドリル(宝石と直径ピッタリドリル)で切削します。
貫通させずに途中で留め、宝石をセットします。
始めからピッタリを目指してもよいのですが、
深くし過ぎたら取り返しがつきません。
そのため、まず最初は浅めに皿もみします。

ここから微調整していきます。
少し削っては宝石をセットし、まだ浅かったら少し削り・・・
をちょうど良い深さになるまで皿もみします。
浅い深いは、私は指先で触って確認しております。
皿もみが浅いうちは宝石がその分金属より出っ張っており、
また宝石を押さえた指を軽くズラすようにすると不安定にグラつきます。
と、言われても最初の内は中々分かりづらいと思いますので、
以下で図解して参ります。
深い

金属よりも宝石のてっぺん(テーブル)が低い。
手で触ると安定感はあるものの、出っ張りが感じられない。
なお、チョコ留めなど嵌(は)め込む系の留めではこの図くらい深くする。
浅い

宝石の一番太い所(ガードル)が金属より上のため、不安定。
ただし、ちょうど良いの一歩手前くらいだとそこそこ安定するのでややこしい。
出っ張りが指に引っかかるので、
引っかかり感のようなものにも注意を払い、感覚を覚えよう。
ちょうどGOOD
金属がてっぺん(テーブル)と直径の太い所(ガードル)の間くらいになるとGOOD

安定感はあるが、わずかに宝石の出っ張りが引っかかる。
上手に留められたなと思ったら、何度も触って引っかかり感を覚えると良いです。
なお1mmだと目視では難しいですが、
3㎜くらいになると目視でも分かるようになってきます。
皿もみできたらワセリンを塗ります。
ワセリンの白さがわからないほど全体的に薄く塗ればOKです。
竹串や爪楊枝などを使うと塗りやすいですね。

ワセリンを塗らないと留める時の振動で宝石が跳びます。
ワセリンを塗らないとどれくらい跳ぶか一回試してみると
ワセリンのありがたさが分かるのでオススメです。
ワセリン。あぁ、ワセリン。
あとは宝石を乗っけてセッティング完了です。

さてさて
ポンチや下穴でズレがあると書いたのを覚えていますでしょうか?
セッティング完了時点で、もうズレが分からなくなっていますよね。
これは練習の罠で、広い所に留めているのでズレが分かりにくくなっているのです。
最初の内はとにかく留めることを覚えるの優先で大丈夫です。
慣れてきたら2本線を引いてその中間に留めるようにしたり、
銅管を切ったリングに留める練習をするなど
ズレが分かるように工夫していきましょう。
宝石の留めはわずかなズレが惨事につながることもありますからね。
次回はいよいよ爪を立てて留めていきます。
それでは。