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手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

ドリル刃を研ぐ

2021
19
こんにちは。

こちらは手彫り工房の彫金教室です。
バックナンバーはコチラから


ドリル刃の前に包丁を研ぐという遠回りをしましたが、
今回はちゃんとドリル刃を研いでまいります。

全く穴が開かなくなる理由


研ぐ前に、ドリル刃の研ぎと成形についてちょっと書いてまいります。

ドリル刃は使っていくと当然摩耗して切れなくなってきます。
そして、ある時点で一気に全く切れなくなり、全く穴が開かなくなります。

ある程度の摩耗なら手動で砥石を使って研ぐことで、多少切れ味は回復します。
しかし、さらに使い続けてドリルの角度が狂ったり、全く切れない状態では
砥石だけでは厳しいです。
こうなるとダイヤモンドディスクなどで削らないと切れなくなります。
大きく削るとなると、研ぐというよりは成形の域になってきます。
(当ブログでは、大きく削るような研ぎは便宜上「成形」と書いていきます。)

全く切れなくなるのは、使い続けると刃が内側を向くためです。

摩耗するのは金属と接する刃の外側なので、
外側が削れて内側が残ります。
内側が残るということは刃が内側を向くということで、
穴あけしたい金属に刃が接しなくなり、穴が開かなくなります。

そのため刃が内側を向き始めた段階なら、
ヤスリなどで内側を削ってから外側を軽く研ぐと少し切れ味が回復するということですね。
完全に刃が内側を向いてもしっかりヤスリで削れば切れ味を戻せるのですが、
ドリル全体の角度がおかしくなっていくので成形した方が良いと思います。

今回はやっていくのは切れ味を回復させる研ぎで、成形は次回の予定です。

ドリルの動かし方


研ぎ方、動かし方は完全に私の独学ですので、
正しいかどうかわかりませんし他の方のやり方も知りません。

なので、考え方やこの手の動かし方はココに対応する・・・
みたいなことを書こうかとも思いましたが
ややこしくなるだけな気もしたので
今回はドリルの動かし方のみ書いてまいります。
次回の成形では角度についてちょっとだけ触れます。


手の動かし方は、簡潔に言えば捻りながら押し付けるスクリューです。
手首をひねりながら軽くえぐる感じで回転させながら研ぎます。
動きとして近いのは、
コルク抜きを刺す動きをコンパクトにした感じです。

・・・感じなのですが、分かりにくいと思うのでもっと簡単に。

0.内側を削る
先も書いたように、まず研ぐ前に内側に向いている刃を削っておきましょう。
内側をゴリゴリヤスリで削るだけです。
ドリル研ぎ1
↓削る面積はかなり小さい。刃のすぐ裏、赤い線の部分だけで良いです。
ドリル研ぎ12

内側を向いている刃はたいてい摩耗して薄くなっているので、
全体を3,4回ほどヤスリで削ってあげれば大体の場合はOKです。
だ円など曲面のあるヤスリなら削れます。
100均金工ヤスリだと太過ぎる場合があるので、
いわゆる精密ヤスリか100均ならダイヤモンドヤスリであれば
つつがなく削れるハズです。

1.きっちり刃の所に砥石を当てる。
ドリル刃を研ぐ
包丁の研ぎと同じで、ドリルも砥石に刃を立ててはいけません。
ドリルが曲面なので
包丁の所で紹介した「角度を確かめる」のように押さえつけるのが難しいのですが、
キッチリ刃を寝かせた状態から始めましょう。

なお、ドリル刃を砥石に対して立てた状態で研ぐと、
刃が内側を向いて全く切れなくなります。


2.親指と人差し指でドリルを回転させながら前へ。
ドリル刃を研ぐ2
そして、さらに少しだけ倒していきます。もちろん、回転させながら前へ研ぎながら、です。
↓図だとたくさん倒しているように見えますが、実際は気持ち倒すくらいでOK
ドリル研ぎ3
(なお、「砥石が当たっている部分」はイメージで、実際はちょっと異なります。
 ただ、砥石が当たる部分が後ろに行くのは事実なので、わかりやすいかなと思い書いておきました。)

つまり、回転・前へ・倒すの3つを動作を同時にしながら研ぐということですね。

・・・と、ここまでごちゃごちゃ書きましたが、実際見てみると簡単に思えるはず。
ドリル研ぎ
(祝!当ブログ初のgif画像)

ここまでに書いてあることが意味わからんよ~となったら、
gif画像の動きをマネするのでも大丈夫・・・だとおもいます、たぶん。

研ぐ回数は5~6回くらい。
ドリル自体小さい上、3分の1回転くらいでよいので
やってみると動きは本当にコンパクトです。


大切なところは包丁研ぎと同じく研ぎ始めです。
最初の刃と砥石の角度がおかしいと切れなくなります。
角度の感覚がつかめないなという場合は、
包丁研ぎから練習することをお勧めいたします。

回転させながら研ぐのはココでしっかり慣れておきましょう。
次回の成形でスムーズに動かせるようになっておくと成功しやすいです。


それでは。