Engrave with!!
手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

銀と銅を溶かし、インゴットを作る。

2019
01
こんにちは。

こちらは彫金教室です。

前回までモノをそろえたり、チョコ皿ととのえたり、数学が始まったり
いろいろありましたね。

今回は、いよいよ溶かしていきます。

ホウ砂を入れて


前回用意した銀銅が入ったチョコ皿にホウ砂を入れます。
ホウ砂とフラックスを加える
固形のホウ砂に加え、
ホウ砂の水溶液であるフラックスも入れると全体にいきわたりやすくてGOOD

あけ型に油を


金属を流れやすくするため、あけ型に油をしきましょう。
私と同じあけ型を使用されるかはわかりませんが、
細いほうの溝を使用します。

少量で底面全体にいきわたります。
普通のサラダ油でもOKです。

チョコ皿、あけ型などの配置


バーナー片手に熱した金属を型に流す!
というときにチョコ皿が引っかかったり上手くるつぼハサミが持てなかったり・・・
なんてことになったらちょっと焦ります。

そんなことにならないように、
あらかじめどのように動くかどこに何を置いておいたら良いか、
しっかりシミュレーションしておきましょう。

ここでは例として、
私のモノの配置を紹介します。
配置
耐火煉瓦の上にチョコ皿とあけ型を置いただけですね。
チョコ皿のフチを削った部分をあけ型のほうに向けています。
また、流す細い溝のほうをチョコ皿に近くしています。

白い穴あきセラミックボードも置いてありますが、どちらでもよいです。
熱が伝わりにくいので、少し熱しやすくなるという程度ですね。


私は右利きなので、
るつぼバサミを右手、バーナーを左手に持ちます。
両手でバーナーを点火後るつぼバサミを持つので、
るつぼバサミは片手で持てるようにしています。

繰り返しますが、
バーナーで点火してあけ型に流すまでのシミュレーションはやっておきましょう。
バーナーの火が出ている状態であたふたするのは危険です。

溶かしていく


いよいよ私のやっている溶かし方を紹介していきます。
この部分も完全独学で、本にも載っていなかった部分なので、
ほかに良いやり方がありましたらそちらを参考にしてください。

1:まずバーナーを点火します。

2:始めはバーナーをあまり動かさず中央を集中的に熱します。
 → 集中的に熱することで、部分的に早く金属が液状になります。
   一か所液状になると連鎖的に溶けていきます。
インゴットを作るバーナーで熱する (2)


3:るつぼハサミを手に取り、チョコ皿を少し持ち上げます。
 → チョコ皿が周りと接していないと断熱になります。

4:中央が溶けてきたら周りの溶けていない部分に炎を当てます。

5:全体が溶けたら、チョコ皿を何度も小刻みに左右に傾けます。
 底に溶け残りのツブツブが無くなるまで、傾けます。
 中華鍋を振る感じに少し似ているかも。
 もちろん、炎はツブツブに集中的に当てます。
 → 銀10gを超えるくらいから底にツブツブが残りやすくなります。
   銀5g以下くらいの少量だと残りにくいです。
金属を溶かす時の底に溶け残りのツブツブ
インゴットを作るバーナーで熱する (1)
↑この写真左側のように塊から外れてしまっているモノは、
 大きく傾けることで吸収できます。
金属を溶かすときは皿を振る
↑振って底のツブツブに火が当たるようにしましょう。

6:完全に溶けたら、チョコ皿を大きく傾けてフチまで寄せます。
 → できるだけ炎が金属から外れないよう注意しましょう。

7:フチまで寄せたらそのまま状態をキープしつつ、あけ型にチョコ皿を近づけます。
  あけ型にも少し炎が行くようにして、型を温めます。
金属をフチに寄せて温める

8:チョコ皿を横に動かしながら、あけ型に流して完成。
金属を型に流す
実はこの最後の工程が一番難しいです。
動かすのが遅いとインゴットが太くなりますし、速いと切れます。
とはいえ、5g程度の少量ならあまり動かさなくても良いので、
最初は少量で感覚をつかむのが良いかもしれませんね。

完成インゴットがコチラ
インゴット完成 (1)
インゴット完成 (2)
これなら成功といえるでしょう。
ちなみに溶け残りがあると
インゴットにツブツブが見えることがあります。
ツブツブがあったらもう一回溶かしましょう。


さぁ、今回でようやくインゴットができました。
色々準備は長かったですが、
ここから一気に形になっていきます。
あともう少し、あともう少し。
根気よく、ゆったりとやっていきましょう。

それでは。