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手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

銀・銅の計算と計量(下準備その2) ~彫金における銀線の作り方・自作~

2019
25
こんにちは。

こちらは彫金教室です。
彫金教室記事のバックナンバーはコチラ

前回、次から溶かしていくよと書きました。(←現在修正済み)
ごめんなさい。まだ計算と計量が残っていました。

さぁ、数学教室の時間です


電卓かexcel使っていけば、計算自体は簡単です。
今回は、彫金教室ならぬ数学教室ですね。

ただ、密度(比重)なども計算に入るので、一応ちゃんと解説していきます。
それくらいの計算何ともない、という方はざっと斜め読みしてくれると助かります。

作りたい長さから必要な重さを計算しよう。


作るインゴットは重すぎても軽すぎてもダメです。
重すぎれば線が長くなりすぎ、線引き機で引ききれません。
軽すぎれば長さが短くなります。
そのため、必要な重さを計算しなければいけません。

シルバー950のインゴットの重さ


インゴット(シルバー950)の密度は約10.4(g/cm3)
作りたい長さをxcmとしましょう。

今回は幅2mm、厚さ1mmの銀線を作ることにします。

ここで、単位がcmとmmでズレていることにお気づきでしょうか?
単位は必ずそろえなければいけません。
そのため、幅0.2cm、厚さ0.1cmで計算します。

密度に体積をかければ重さが出るので、
作りたいインゴットの重さ(g)の計算式は・・・
10.4×(x×0.2×0.1)
と掛け算するだけですね。

例えば、作りたい長さが40cmの時は
10.4×(40×0.2×0.1)=8.32
なので、40cmの2×1mm平角線では
8.32gのシルバー950インゴットが必要になるということですね。

以下の計算でも例として40cmくらいの銀線を想定してみましょう。

銀の重さ、銅の重さ


シルバー950インゴットの重さが出ればあとは簡単。
銀が95%、銅が5%なのだから

銀:8.32×0.95=7.904
銅:8.32×0.05=0.416
となります。

実際に計ると、計算通りとは・・・


さて、計算大丈夫っていうかたも、
ここからは読んでいってほしいところです。

これから実際に重さを計っていきます。
電子天秤を使います。

キッチン用だとせいぜい0.1gまでなので適しません。
0.01は最低でも欲しいところです。0.001gまで計れれば完璧です。

実験で使うわけではないので、安いものでOK。
2000~3000円くらいで買えるはず。

それでは、計っていきましょう。
銀7.904gからです。
笹吹きの銀を入れて・・・
x (3)

はい、微妙に多いですね。8.056gです。
ここから頑張ってピタリと合わせてもよいのですが、
それにあまり意味はありません。

なぜなら、40㎝で7.904g必要、でしたよね。
ちょっと重さが増えて、42~3cmくらいになっても問題ないはずです。

このように、実際にやると事前の計算通りにいかないことがあります。
笹吹きの銀だけで重さをピッタリ合わせるのは、非常に面倒です。
何事も柔軟にいきましょう♪


次に、銀8.056gに対して必要な銅の量を計算しましょう。
8.056×(5/95)=0.424
銅は0.424g必要です。

ここで注意してほしいのが、
100分の5ではなく、95分の5であるということです。

これは比で考えて
シルバー950:銀:銅=100:95:5
なので、銀から銅を算出する時は5/95になります。
うっかりミスしやすいところです。


次に0.424gの計測です。
微調整には
薄く伸ばした銅を金切りばさみで切ってやると
うまくいきます。
純銅はローラーで簡単に伸びますので、
切れ端などの小さなかけらを使いましょう。
ハンマーで叩いても伸ばせます。

計れたら、チョコ皿に銀と銅を入れてしまいましょう。

許容誤差について


電子天秤はちょっと風が吹いても重さが変わります。
数字が動き続けて中々安定しない場合もあったり。

そこで、±0.002gくらいの誤差なら、許容してもOKです。

金属の性質もそれぐらいではほぼ変わりません。
もちろん、ぴったり合うならそれに越したことはありませんけどね。

次回は今度こそ溶かしていきます。

それでは。