Engrave with!!
手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

冬だ!気温ダウンだ!フラックス濃度は下がっていないか?

2018
09
こんにちは。

2018年も11月に入りました。
みなさん、ロウ付けの失敗増えていませんか?

ロウ付けをご存知ない方はコチラ

彫金教室目次はコチラ

冬になると突然ロウ付けの失敗が増える現象


毎年気温が下がってきたら注意喚起したいですね、
この「冬になると突然ロウ付けの失敗が増える現象」を。
今までできていたのに、ロウが上手に広がらず玉のようになって微動だにしない!
そんな方は恐らくこの現象のせいです。

私は最初、自分が下手になったのかと思いました。
でも違ったのですね。
気温が低くなったのが悪いんです。

気温が低いとロウ付けが失敗する。


1・気温が低いとホウ砂はあまり溶けなくなります。
2.フラックスの濃度が下がります。
3・フラックス濃度が下がるとロウが上手く溶けなくなり、ロウ付けが失敗します。

この3STEPで
「冬になると突然ロウ付けの失敗が増える現象」
が発生するのです。

市販のロウを使っている方は感じないかもしれませんが、
自分でホウ砂を水に溶かしてフラックスを作っている方は要注意です。

↓沈殿している結晶がキレイに大きく・・・その分フラックス濃度はさがっています。
ホウ砂の針状結晶(彫金フラックス) (8)


冬のロウ付け対策


「冬になると突然ロウ付けの失敗が増える現象」
の対策でパッと思いつくのは2通りです。

一つ目はフラックスを温めてやること。
湯せんでも何でもよいので温めてしっかりかき混ぜてやれば、元通りの濃さになります。
しかし、使う度に温めるのはちょっと面倒ですよね。

そこで、二つ目の結晶乗せです。
普段であれば火ムラが起きやすいのであまりやりませんが、この現象が起きた時は話は別。
ホウ砂の結晶をロウの上に乗せてしまいます。

底に沈殿しているものや新品のホウ砂でも良いですが、
オススメはフタ辺りにくっついている薄い結晶です。
薄いホウ砂の結晶 (1)

単純に使いやすい。そのまま乗せても良い。
薄いホウ砂の結晶 (2)
フラックスでぬらして半分溶かした感じにするとさらに使いやすいです。

なお、もし結晶乗せでも上手くいかなかったら違う原因の可能性が高いです。
ロウ付け 失敗のケーススタディ 前編
ロウ付け 失敗のケーススタディ 後編
の方へドウゾ。


今回の現象もそうですが、失敗や成功の原因が思わぬ所にあることも多いです。

突然失敗、あるいは成功するようになったら、
一度立ち止まって考えて色々試してみるとおもしろい発見ができるかもしれません。


それでは。