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手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

ロウ付け 失敗のケーススタディ後編 彫金アクセサリー教室

2017
24
こんにちは。

こちらは彫金アクセサリー教室です。

前回に引き続き、ロウ付けの失敗のケーススタディです。
今回は炎の当て方についての失敗を主に取り上げています。
連続した失敗ではなく成功と失敗を繰り返すようなら、まず炎について疑ってみましょう。

炎を片側に当てすぎてロウが思ったところに流れない。


前にも書きましたが、ロウは熱い方に流れていきます。
右から炎を当て続ければ右へ、左なら左へ流れます。
炎の当て方があまりに偏ると、ロウはくっつけたいところに流れずに炎を当てた方に流れてしまいます。
銀ロウ_片側熱しすぎ
どのように炎を当てればどのようにロウが流れるかを予測できれば、応用も利くようになります。
成功した方も、あえて炎の当て方を変えてみてロウの流れ方を見てみるのもおもしろいかもしれません。

炎の熱いところがロウに当たっていない。


還元炎が最も熱いということを前に書きました。
還元炎周辺もそれなりに温度は高く、ピンポイントで還元炎を当てなくてもロウは溶けます。
しかし、温度の低い部分を当ててしまうと上手く溶けません。

温度の低い部分というのは、炎の根元や先っぽです。
そのためあまりに近づけすぎたり、遠ざけすぎたりすると炎の熱いところがロウに当たらないのです。
おおまかに、炎の真ん中よりちょっと先の方、くらいを目安にしてみましょう。

火力が強すぎる


火力が強いとロウは溶けやすくなり、ロウが溶けなくて困ることは少なくなるでしょう。
しかし、火力が強すぎて起きる問題もあります。

それは火ムラができやすくなることと銀ロウがとぶことです。

火ムラとは、ロウではなく真鍮など母材の表面が溶けて凹凸ができてしまうことです。
母材の大きさに比べて火力が強いときは火ムラができやすくなります。
防ぐには、炎を小さくするか還元炎をロウにピンポイントで当てることです。
還元炎をピンポイントで当てられればすぐにロウが溶けます。
結果、炎を当てる時間が短くなり、火ムラが防げるのです。

銀ロウがとぶのは弱い火力でも起きますが、火力が強ければ強いほど起きやすくなります。
水分が急に沸騰することが原因なので、フラックスの水分を飛ばしてやればほとんど起きなくなります。
遠火か時間を置くかして水分を飛ばしてやりましょう。

今回の真鍮のロウ付けでは、大きな火ムラはできにくいです。
しかし、小型ではない普通のバーナーを使っている方はこの限りではなかったかもしれません。
どうしても普通のバーナーを使いたい場合は、
還元炎を見極めて短時間でロウを溶かすことが大切になってきます。

火力が弱すぎる


同じバーナーを使い続けていても、火力は一定とは限りません。
残りのガスが少なくなると火力が弱くなるためです。

火力が弱いと温度が足りず、ロウが溶けなくなります。

いつも上手くできていたのに急にロウが溶けなくなった、
という場合にはバーナーのガスを充てんしてみましょう。



如何だったでしょうか。
思いつく限りロウ付け失敗の原因をあげていきました。
失敗の原因は複数であることも多いため、根気よく色々変えてみると上手くいきます。
例え失敗が続いても、休憩を挟みながらゆったりやっていきましょう。
イライラしながらだと、思わぬところを見落としていることがあります。


彫金教室では様々な技術を紹介しております。
よろしければのぞいて行ってください。

それでは。