ロウ付け 失敗のケーススタディ前編 彫金アクセサリー教室
2017
18
こんにちは。
こちらは彫金アクセサリー教室です。
今回は、ロウ付けのケーススタディをやります。
ロウ付けの成功&失敗は様々な要因が重なった結果です。
そのため、失敗したときにはその理由を一つ一つ探し出せるかがポイントになります。
ロウ付けの失敗、と一口にいっても、昨日の失敗と今日の失敗が同じ理由とは限らないのです。
しっかり溶けたのに、力を加えたら取れてしまった!
そんな場合は、ロウ不足の可能性があります。
見分け方は断面。
断面全体にロウがいきわたっていなかったら、
ロウ不足の可能性が大きくなります。
とはいえ、ロウ付け後は真鍮と9分ロウの色が似るので、判断しにくいかもしれません。
そのため、「力を加えたらとれる」ということがあったら、少しずつロウを増やしてみましょう。
ロウが上手に溶けてくれない場合は、フラックスや炎の当て方に問題があることが多いです。
そのため、見落としがちになるのがロウが多すぎるという場合。
実は、ロウが多すぎると溶ける前にロウ表面が酸化して上手く溶けないことがあります。
私としてはロウはちょっと多いくらいがやりやすいと思っておりますが、
とにかく多ければ多い程良いというわけでもないということですね。
また、ロウが多すぎると溶け残りがでやすいです。
溶け残りはヤスリで除去できますが、見栄えに影響する場合もあります。
解決策は3つ。
ロウを適量に減らすか、
火力の強いバーナーを使うか、
温度の高い還元炎を当てて一気にロウを溶かすことで解決できます。
何回かやってもロウが上手く溶けてくれない場合、フラックスに問題があるかもしれません。
成功と失敗を繰り返すのではなく、連続して失敗する場合は特にフラックスの問題を疑うべきでしょう。
作ったばかりのフラックスは濃度にムラがあったりして失敗することが多いです。
多めのホウ砂をお湯で溶かしましょう。溶け残るくらいで良いです。
完成したフラックスはしばらく置いておくとムラがなくなります。
なお、寒い日にはフラックス濃度が下がるので、失敗するようならフラックスを温めてみましょう。
(関連記事:冬はフラックス濃度が低下する?!ロウ付け失敗の意外な原因)
フラックスの分量も要因の一つです。
フラックスが少なすぎるとロウが上手に溶けてくれません。
特に炎を当てた時にロウが球状になってしまう場合は、フラックスを増やしても良いでしょう。
(フラックス濃度に問題がある場合も、球になる場合があります。)
また、増やす場合はロウそのものにつけても溶けやすくなるので、試してみてください。
逆にフラックスが多すぎると起きる弊害もあります。
炎を当てた時にフラックスが急に沸騰するため、フラックスが多いとロウがとんでしまうのです。
その場合、フラックスを減らすか、遠くから炎を当てるなどして水気をとばしてみましょう。
他には、フラックスが多いと火ムラといって母材が溶けて凹凸ができることが多くなるように感じます。
火ムラは熱しすぎで出ますが、フラックスが多い場合だと発生率が高い感じがしますね。
この火ムラが大きく出てしまうとかなり削らないといけないので、気を付けたいところです。
多すぎてもダメ、少なすぎてもダメと難しく感じるかもしれません。
しかし、失敗してもやり直せます。
練習で意識していればそのうちできるようになりますので、
一回一回の成功失敗にとらわれずにやっていきましょう。
今回用いた真鍮という金属は、特に酸化しやすいです。
例えば、前日ヤスリで削ったところにも翌日には薄く酸化膜ができていることがあります。
くっつけたいところに酸化膜ができていると、スキマに流れてくれないことがあります。
また、ロウを置いた場所の酸化膜が除去できていない場合だと、
思わぬ方向にロウが流れていってしまうことがあります。
前回、ロウを置くところを軽くヤスリ掛けしたのは2つの理由からです。
一つは酸化膜の除去、もう一つはロウを溶かすところを滑らかにするためです。
例えば、ロウ付けしたい面をヤスリがけすると、わずかにバリがでます。
そのバリをそのままにすると溶けたロウをダムのようにせき止めてしまい、上手く付かないことがあります。
凹凸や段差など無い方がやりやすい場合が多いので、ロウを置く場所は滑らかにしておきましょう。
これはわかりやすい失敗ですね。
くっつけたい断面が斜めになっていたりして、一部分スキマが大きく開いている場合などです。
先にも説明したように、スキマは小さくないと毛細管現象が働かずに上手くくっついてくれません。
如何だったでしょうか?
ロウ付けが上手にいかない場合は、考えられる原因を一つ一つ潰していけばなんとかなります。
次回はケーススタディ後編です。
彫金教室では様々な技術を紹介しております。
よろしければのぞいて行ってください。
それでは。
こちらは彫金アクセサリー教室です。
今回は、ロウ付けのケーススタディをやります。
ロウ付けの成功&失敗は様々な要因が重なった結果です。
そのため、失敗したときにはその理由を一つ一つ探し出せるかがポイントになります。
ロウ付けの失敗、と一口にいっても、昨日の失敗と今日の失敗が同じ理由とは限らないのです。
ロウ不足でくっついてもすぐ取れる
しっかり溶けたのに、力を加えたら取れてしまった!
そんな場合は、ロウ不足の可能性があります。
見分け方は断面。
断面全体にロウがいきわたっていなかったら、
ロウ不足の可能性が大きくなります。
とはいえ、ロウ付け後は真鍮と9分ロウの色が似るので、判断しにくいかもしれません。
そのため、「力を加えたらとれる」ということがあったら、少しずつロウを増やしてみましょう。
ロウが多すぎてくっつかない。
ロウが上手に溶けてくれない場合は、フラックスや炎の当て方に問題があることが多いです。
そのため、見落としがちになるのがロウが多すぎるという場合。
実は、ロウが多すぎると溶ける前にロウ表面が酸化して上手く溶けないことがあります。
私としてはロウはちょっと多いくらいがやりやすいと思っておりますが、
とにかく多ければ多い程良いというわけでもないということですね。
また、ロウが多すぎると溶け残りがでやすいです。
溶け残りはヤスリで除去できますが、見栄えに影響する場合もあります。
解決策は3つ。
ロウを適量に減らすか、
火力の強いバーナーを使うか、
温度の高い還元炎を当てて一気にロウを溶かすことで解決できます。
フラックスの濃度
何回かやってもロウが上手く溶けてくれない場合、フラックスに問題があるかもしれません。
成功と失敗を繰り返すのではなく、連続して失敗する場合は特にフラックスの問題を疑うべきでしょう。
作ったばかりのフラックスは濃度にムラがあったりして失敗することが多いです。
多めのホウ砂をお湯で溶かしましょう。溶け残るくらいで良いです。
完成したフラックスはしばらく置いておくとムラがなくなります。
なお、寒い日にはフラックス濃度が下がるので、失敗するようならフラックスを温めてみましょう。
(関連記事:冬はフラックス濃度が低下する?!ロウ付け失敗の意外な原因)
フラックスの分量
フラックスの分量も要因の一つです。
フラックスが少なすぎるとロウが上手に溶けてくれません。
特に炎を当てた時にロウが球状になってしまう場合は、フラックスを増やしても良いでしょう。
(フラックス濃度に問題がある場合も、球になる場合があります。)
また、増やす場合はロウそのものにつけても溶けやすくなるので、試してみてください。
逆にフラックスが多すぎると起きる弊害もあります。
炎を当てた時にフラックスが急に沸騰するため、フラックスが多いとロウがとんでしまうのです。
その場合、フラックスを減らすか、遠くから炎を当てるなどして水気をとばしてみましょう。
他には、フラックスが多いと火ムラといって母材が溶けて凹凸ができることが多くなるように感じます。
火ムラは熱しすぎで出ますが、フラックスが多い場合だと発生率が高い感じがしますね。
この火ムラが大きく出てしまうとかなり削らないといけないので、気を付けたいところです。
多すぎてもダメ、少なすぎてもダメと難しく感じるかもしれません。
しかし、失敗してもやり直せます。
練習で意識していればそのうちできるようになりますので、
一回一回の成功失敗にとらわれずにやっていきましょう。
酸化被膜を除去しきれていない
今回用いた真鍮という金属は、特に酸化しやすいです。
例えば、前日ヤスリで削ったところにも翌日には薄く酸化膜ができていることがあります。
くっつけたいところに酸化膜ができていると、スキマに流れてくれないことがあります。
また、ロウを置いた場所の酸化膜が除去できていない場合だと、
思わぬ方向にロウが流れていってしまうことがあります。
ロウを置いたところが滑らかではない。
前回、ロウを置くところを軽くヤスリ掛けしたのは2つの理由からです。
一つは酸化膜の除去、もう一つはロウを溶かすところを滑らかにするためです。
例えば、ロウ付けしたい面をヤスリがけすると、わずかにバリがでます。
そのバリをそのままにすると溶けたロウをダムのようにせき止めてしまい、上手く付かないことがあります。
凹凸や段差など無い方がやりやすい場合が多いので、ロウを置く場所は滑らかにしておきましょう。
スキマが大きい
これはわかりやすい失敗ですね。
くっつけたい断面が斜めになっていたりして、一部分スキマが大きく開いている場合などです。
先にも説明したように、スキマは小さくないと毛細管現象が働かずに上手くくっついてくれません。
如何だったでしょうか?
ロウ付けが上手にいかない場合は、考えられる原因を一つ一つ潰していけばなんとかなります。
次回はケーススタディ後編です。
彫金教室では様々な技術を紹介しております。
よろしければのぞいて行ってください。
それでは。