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手彫り工房ブログ

手彫り工房のオフィシャルブログです。金属彫ってます。彫ってます。

彫金アクセサリー教室 第一章 2-2:タガネを作ろう2

2016
07
こんにちは。

こちらは彫金アクセサリー教室です。バックナンバーはこちら。

工程三:焼き入れは水へジュワ!


さて、前回で成形のチェックまでやりましたね。
次は、まだ柔らかいタガネを焼き入れして硬くしましょう。

やり方は簡単。
小豆色になるまで熱して。
焼きなまし

ヤットコでつかんで、水にジュワっといれるだけ!
焼き入れ

これで焼き入れ完了です。

工程四:焼き戻しは奥が深い。


全四工程のなかで、もっとも手間がかかるのは成形でした。
しかし、もっとも奥が深いのは焼き戻しです。

この焼き戻しは、焼き入れ直後に行うとGOODです。

焼き戻しとは、焼き入れで硬くなりすぎた金属を適切な硬さにすることです。
硬ければ硬いほどよいのではないか?と思う方もいるでしょう。
そう、硬いのは別に良いのです。
問題は、硬すぎるともろくなってしまうことです。

例えば、ビスケットは固いお菓子ですが、簡単に欠けたり割れたりします。
同じ小麦粉からつくっても、例えば柔らかいスポンジケーキのスポンジは曲げても割れにくいです。
いうなれば、焼き戻しをする前の金属ははビスケットの状態です。
硬いですが、簡単に欠けます。

↓欠けたタガネ
欠けたタガネ

焼き戻し、というのは言ってみればビスケットとスポンジの間を目指す作業です。
欠けないほどの柔らかさがあり、かつ彫れるくらいには硬い、これを実現させる作業です。
だから奥が深い・・・ですが、そんなに気負わなくてもOKです。やり直しが利きますからね。

まず、焼き戻す対象は刃先です。
なので、刃先は直接火で熱さないようにしましょう!


え?意味が分からない??
直接熱すると、熱しすぎになります。
先端は細いので、あっという間に熱くなるのです。
焼き戻しで目指す温度は400度くらい。対してバーナーは1500度ですからね。

まず、刃先よりかなり上から熱していきます。
すると、刃先の金属の色が微妙に変わる瞬間があります。
ガンガンに熱したときの小豆色ではないですよ。
↓こんな風に色が変わります。
焼き戻し1 (6)



刃先から3cmくらいまでヤスリでタガネの表面を削ると、かなり色の変化が見やすくなります。
色の変わり方は以下の通り
温度低: 鉄の色→黄→赤茶→茶→濃い青→薄い青 :温度高
ちなみに、青系はOUTです。やり直しましょう。
刃先が茶っぽい色か、むしろいっそ刃先の色が変わったなと思ったら熱するのをやめるくらいでもよいです。

↓刃先の色が茶色っぽくなったらストップしましょう。
焼き戻し1 (7)
↓これはもうOUT!先の方が青くなっています。
焼き戻し1 (8)

う~ん。写真がうまく取れない(泣)

刃先の色がうまく黄~茶色にできたら、水の中に入れて焼き戻し終了です。

最初は難しいですね。
色の目安は一度目の焼き戻しと2度目の焼き戻しでは違うとも言いますし、奥が深いです。
ミスしたら、もう一度焼き入れすれば再挑戦できます。

どうしても難しい場合は、もういっそのこと焼き戻ししないというのもアリ。
欠けたらもう一度作り直して、その時に焼き戻しに挑戦してみましょう。


次回は、できあがったタガネを研ぎます。
いよいよ、完成です。

彫金教室では様々な技術を紹介しております。
よろしければのぞいて行ってください。

それでは。